2012年ドルトムント留学体験記

宇都宮 竜司

派遣先:Bayer Material Science (Leverkusen)

参加の目的

私が本インターンに参加したのは、海外で働き生活する経験をすることで、自分の将来のビジョンを明確にしたかったからです。

インターンと生活

ustunomiya1私の配属先はBayer Material Scienceのレオロジー研究室でした。Bayerというと、ドイツでは働きやすい会社という認識があり、定年まで勤め上げる人が多いそうです。そこで私が担当したのは、種々の液滴の接触角の経時変化を測定し、そのデータから乾燥速度・乾燥特性を調べるというものでした。上司が実験方法にある程度の自由度を持たせて下さったので自分なりに試行錯誤することができ、よい経験になったと感じています。上司はオランダ人で、研究室には4人のドイツ人の同僚がいました。(これに関しては、インターン学生との交流を期待していたので、多少がっかりしました。インターン学生の有無は派遣される会社・部署によるようです。)同僚たちは毎朝6時に出社して、15時に帰るという生活をしていました。夕方以降の時間を楽しむためだそうです。というわけで自ずと私も同様の生活をしたのかというと、そんなことはなく、8時に出社して15時に帰るという短期集中型(?)のワークスタイルを実践していました。帰宅後はランニング、地域のイベント、ビールなどドイツならではのものを満喫しました。

ustunomiya2こうした日々の生活もストレスフリーで楽しかったのですが、やはり一番の楽しみは週末の旅行です。その中でも有休と週末を合わせて北アフリカに位置するチュニジアを訪れたのはよい思い出です。せっかくヨーロッパにいるのだから、日本からでは目的地に選ばないであろう国を訪れてみてはどうでしょうか。

海外で働くこと

本インターン参加の最大の成果は、海外で働くために何が必要かを実感として学んだことです。まず当然ですが、英語力は必須です。それに加え、相手の宗教・文化的背景を考慮しつつコミュニケーションを取ることの必要性を感じました。日本のような島国にいると、その必要性を感じることなく生活することができますが、それが海外で思わぬ問題を招くこともあります。詳細は割愛しますが、私自身、ちょっとしたトラブルを経験しました。

大学院に進学される方々へ

これから化学工学専攻に進学される皆さんには、本インターンに参加されることを強くおすすめします。まず金銭的なサポートは十分に受けられます。また、英語に不安を覚える方もいるかと思いますが、それもやってみればなんとかなります。就活に有利との噂も。これは参加しない理由がないですね。ちなみに、ドイツの夏は涼しいです。

最後に

2ヶ月という短期ではありましたが、本インターンを通じ、海外で働くこと・生活することの楽しさや苦労を実感することができました。ここで得た経験を糧に、国際的に通用する日本人となるべく精進していこうと思います。最後になりましたが、本インターンに関係する全ての方々に感謝の意を表したいと思います。ありがとうございました。

鬼頭 慎太郎

派遣先: Bayer Material Science (Leverkusen)

きっかけ

kito1知り合いが1人もいない知らない土地で2ヵ月も暮らすのはどれほど大変だろうかとためらいましたが、むしろ良い経験になるだろうということで思い切って参加しました。

仕事

kito2レバークーゼンにあるBayer MaterialScienceという会社でホログラムに関する研究を行いました。ホログラムとは3Dの記録媒体のことで、私は主にホログラムの現像に関する実験を行いました。勤務時間は8時~17時で、実験をしては結果を上司に報告してディスカッションする、というサイクルの繰り返しでした。仕事自体はごく簡単なものでしたが、英語でのコミュニケーションが大変でした。特に最初は上司の話をほとんど何も聞きとれず、何回も同じ内容を話してもらいましたが、根気強く取り組めばなんとかなりました。当たり前かもしれませんが、相手の言っていることを理解しようという姿勢が何より大事だと感じました。

 

生活・旅行

kito3勤務先から1時間ほどのところにある、ケルン近郊の町で生活しました。スーパーや飲食店、コインランドリーなど生活に必要なものはすべて揃っていますし、ケルンまで行けば駅前には繁華街だけでなく世界遺産もありました。 平日の終業後は、帰り道にあるケルン大聖堂にしょっちゅう訪れました。あれは何度行っても素敵です。みなさんが訪れた際には、てっぺんにも是非登ってみてください。延々と続く狭いらせん階段を登り終えて頂上に出れば、素晴らしい眺めが広がります。ドイツは夏でも涼しいのでビールを飲みながらライン川沿いを散歩するのも気持ちよかったです。週末にはドイツ国内だけでなくベルギー、オランダ、ルクセンブルク、フランスといった近隣諸国まで足を伸ばしました。国・街によって言葉や食だけでなく、人の雰囲気も全然違っていておもしろいです。なので、いろんなところを観光してみてください。

最後に

迷っているなら絶対参加したほうがいいですよ!異文化に晒されれば刺激的な経験がたくさんあるでしょうし、就職活動でのエピソードにもなりますよ。

澤西 伯幸

派遣先: Evonik Industries (Marl)

インターンについて

sawanishi3私は長葭君と同じく,Evonik Industriesという総合化学メーカーのインターンシップに参加しました.Process Technology & Industries部門に配属され,Marlという田舎町にあるオフィスで2か月間仕事をしていました.仕事の内容ですが,「気泡塔」という反応器の産業界における応用に関する文献調査とその報告でした.上司であるPhilippは26歳と若く,異国から来た私に対して何から何まで非常に親切にしてくれました.仕事に行き詰ったときなどには彼に相談をすることが多かったのですが,私のお世辞にも上手とは言えない英語に熱心に耳を傾けてくれ,様々なアドバイスをくれました.また,Evonikには英国,フランス,ポーランドなど様々な国からインターンシップ生が来ており,毎日彼らと昼食をとりながら会話をしていたため,かなり英語を話す力がついたと思います.彼らを筆頭にEvonikの人々のおかげで充実したインターン生活を送ることができました.

生活について

sawanishi1Evonikのオフィスからバスで約1時間の町で,アパートのワンフロアを長葭君とシェアしていました.田舎町なだけあって,家賃は安く,家も広くてめちゃくちゃ快適でした.夕食は,インド人が経営する近所の激安イタリアンレストランでほぼ毎日食べていました.トルコ人の店員は,イスラム教のラマダーン(断食)で夜中しか食事ができず,かえって激太りしたと言って笑かしてくるなど,非常に愉快な人たちでした.インターン先でもそうですが,ドイツにいながら様々な国の人と交流できたのはかけがえのない経験になりました. 日本と同じく,土日は仕事が休みだったので,ほぼ毎週金曜日の勤務後に飛行機もしくは電車で旅に出かけ,日曜の夜に帰宅するというなかなかハードな生活を送っていました.結果的に,インターン前後の旅行も合わせるとドイツを含め12ヶ国訪れることができ,ヨーロッパを満喫することができました.個人的にハンガリーは大きな温泉があってお気に入りの国の1つなので,インターンに参加される方は訪れてみてはいかがでしょうか.

終わりに

sawanishi2私は,それまでほとんど海外に行ったことがなかったので,人々,街並み,食事などすべてが刺激的で本当に参加して良かったと思っています.また,学校や企業からの金銭面での補助や円高の影響もあり,あまりお金の心配をすることなく過ごすことができました.最後になりましたが,本インターンプログラムに関わって下さったすべての方々に感謝の意を表したいと思います.本当にありがとうございました.

 

玉田 真也

派遣先: BASF (Ludwigshafen)

参加のきっかけ

大学在学中に海外留学経験がなかったため、海外での生活を体験してみたいと思いました。

インターンシップについて

私はドイツの総合化学メーカーであるBASF でインターンシップを行いました。インターンシップの課題は蟻酸の製造Tamada1プロセスの設計で、4 回生のとき行ったプロセス設計を簡易版でした。最初の2 週間は文献を調べ、反応速度式や物性値などのデータを整理して、残りの4 週間でシミュレーションを行いました。シミュレーションにはChemasim と呼ばれるBASF 内で使用されているシミュレーションソフトを使用しました。このソフトは英語版がなく、ドイツ語で表記されているため、エラーが出た場合、上司に相談するしかなく、作業が難航する場面が多々ありました。シミュレーションではまず反応率を固定して、蒸留、リサイクルを行い、その後反応率を変化させるために、反応速度式をソフトに入力する予定でしたが、反応式をソフトに入力する方法が分からず、結局Excelで反応器を設計しましたが、事前に調べていた速度式に誤りがあったためか正常な反応率を得ることができず、仕方なく、参考にしていた蟻酸の製造プロセスの反応率を使用しました。反応器や蒸留塔のコストに関する情報が手に入らなかったため、経済評価ができなかったのが心残りです。仕事で苦労した点としては、やはり言語の問題です。私は英語には少し自信があったのですが、仕事上での問題点を伝えるときはジェスチャー中心になってしまい、自分の英語力がまだまだ実戦レベルではないことを痛感しました。

生活について

食事

Tamada2ドイツでは弁当や総菜がなく、スーパーでは2 ~ 3 種類のサンドイッチしか手に入らなかったため、料理の出来ない私は苦労しました。昼は会社の食堂で食べ、夜は2 ~ 3 種類のサンドイッチをローテンションしつつ、日本から持ってきていたご飯を食べました。会社の食堂はおかずごとに値段が決まっているものの、そのほとんどがいくら取っても同じ値段だったため、食堂を利用する方は同じおかずを大量に取っており、これは肥満を助長する仕組みであり改善の必要があると思いました。味としては、日本のほうがおいしく感じました。

交通機関

ドイツでは路面電車がいたるところにあり、長距離の移動以外は路面電車を利用することが多かったです。路面電車以外の電車は大抵が時間通りには来ず、1 時間以上遅れることも多々ありました。また電車が来るホームも頻繁に変更され、電光掲示板にも表示されないことがあったので、何度も電車を乗り損う場面があり、日本の電車の優秀さを再認識しました。

その他、苦労した点など

生活の上でも、仕事と同様に英語で苦労しました。私の住んでいた場所はキッチン等が共用だったため、他の住民と交流する機会が多く、そこで仲良くなった人と遊びに行ったりしましたが、コミュニケーションの手段が英語しかなかったため、日本にいるときと比べて大分無口になってしまいました。ドイツは、食事はおいしくなく電車も頻繁に遅れますが、人は優しく治安も良いすばらしい国だと思いました。

長葭 基生

派遣先:Evonik Industries (Marl)

企業でのインターンシップ

私はEvonik Industriesという化学メーカーのインターンシップに参加しました。サッカー選手の香川選手が以前所属していたボルシア・ドルトムントのスポンサーとしても有名です。勤務先はマルルという町にある多くの企業が集まる巨大な化学工場でした。仕事は朝9時前から16時までで先輩に聞いていたとおり遅くまで残って仕事をしている人はほとんどおらず日本もこういうスタイルになればいいなと感じました。研修内容は水と油のような2種類の液を分離する重力沈降装置の連続化に関するものでした。初めの1,2週間は上司の方に多くの参考文献をもらい勉強することから始めました。そしてその後は参考文献に載っている計算式に基づいて沈降装置の設計を行いました。インターンシップに行く以前は英語で専門的なことを喋ったことがなかったので,上司とうまくディスカッションができるかどうか不安でしたが,上司が非常に優しく私のつたない英語も根気強く聞いてくれて最後には少し自信を持つことができました。

ドイツでの生活

nagayoshi1研修中は一緒にEvonikのインターンに参加した澤西君と二人でかなり広めのアパートで暮らしました。勤務先からバスで約1時間のところにある田舎町ながらもスーパーや飲食店が充実しており,まったく不便しませんでした。地元の人と交流することも多く,特に毎日のように通い詰めたイタリア料理屋の店員さん達は澤西君のことを名前で呼ぶのに,私のことは「Company!!(その他大勢)」なんて冗談で呼んでくれたのはいい思い出になっています。平日は仕事から帰ると週末の旅行計画を立てることが多かったです。研修が始まる前後も合わせると計9か国に行きヨーロッパ中の観光名所を巡ることができました。またEvonikのインターンシップ生にはディナーに誘われたり,逆にこちらの家に招いたりして交流を深めることができました。しかし大人数で英語が堪能な人たちが喋りだすと展開が早く,内容がわからずに会話に参加できないことが多々あって悔しい思いをしました。

おわりに

ドイツでの研修は普通の大学生ではめったに経験できないことで,本当に多くのことが学べると思います。また大学やインターン先が金銭面はかなり補助してくれるので,これからM1になる人には後先考えずにぜひ参加してほしいと思います。このような貴重な機会を与えてくださった山本先生をはじめ,関係者の方々に感謝いたします。ありがとうございました。

平田 彩香

派遣先: Bayer Schering Pharma (Bergkamen)

はじめに

昨夏,当専攻のプログラムを利用して,ドイツに2か月間インターンに行ってきました.行くまでは色々と不安でしたが,実際に行ってみるととても素晴らしい経験となりました.その思い出を少し振り返りたいと思います.

仕事について

hirata1インターン先は,Bayer Schering Pharmaという企業のベルカメン地区にある工場でした.この工場では主に医療品原薬を製造しています.私の仕事内容は,溶媒に関するデータを集めたり,配管の温度や圧損を計算したりすることでした.また上司は工場内の見学にも積極的に連れて行ってくれました.働くうえで1番苦労したのはやはり言語の問題でした.自分の思っていることを上手く表現できなかったり,工場見学先で説明内容が聞き取れなかったりなど,自分の英語力の無さを痛感しました.もっと英語を勉強しておくべきだったと後悔もしましたが,これからもっと頑張ろうというモチベーションにもなりました.また皆の帰宅時間にも驚きました.皆,15~16時には帰っていきます.家族との夕食を楽しむと言っていたのが印象的でした.

旅行について

hirata4インターン前後とインターン期間中の週末を利用して,ドイツ国内に限らず様々な都市を友達と,もしくは一人で旅行しました.外国を一人で旅行するというのは私にとって初めての経験でした.はじめは少し不安だったのですが,旅先での人々はみな親切にしてくれ,自分独りでもなんとかなるという自信もつきました.

生活について

hitara3インターン中は,会社の近くに住んでいるドイツ人老夫婦の家に滞在させてもらいました.彼らは英語を話すことはできないのですが,観光に連れて行ってくれたり,ご飯やお茶に呼んでくれたりと本当に親切にしてくれました.コミュニケーションは日本から持って行ったポケット版日独辞典とボディランゲージで行いました.伝えたいことが伝わって,彼らの言いたいことが理解できるととても嬉しく,ドイツを去るときお別れするのが本当に寂しいと思いました.

終わりに

hitara2ドイツの文化,言葉が異なる人とのコミュニケーションなど日本にいてはわからないことを色々と学べた2か月間だったと思います.また日本のよさを再確認でき,自分の将来について考えるいい機会でもありました.最後になりましたが,このような貴重な機会を与えてくださった本プログラムに携わる全ての方々に感謝いたします.ありがとうございました.