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2008年ドルトムント留学体験記

三野 泰志

派遣先:Process Design Center

きっかけ

本プログラムに興味を持ったのは4回生のときです.先輩たちがとても楽しそうにドイツの話をしているのを聞いて,そんなに面白いなら行ってみたいと思うようになりました.自分も参加してみて,ドイツの話をしていたときの先輩たちの笑顔の意味が分かるような気がします.

インターン先の会社

私はドルトムント大学の隣にあるProcess Design Center (PDC)という会社で研修をさせていただきました.PDCはドイツ,オランダ,アメリカにオフィスを置き,世界中で化学プロセスの設計を行っている企業です.最近は,エネルギー効率のベンチマークやバイオ燃料の研究など新しい分野にも挑戦しています.その中で,私が関わったのは,バイオ燃料の研究でした.これまで,ガソリンと混合するためのバイオエタノールの含水率は1 %以下というのが常識とされていました.しかし,PDCは,エタノールにはもともと水を溶解する性質があり,4-5 %程度であれば水を含んでいても,バイオエタノール混合ガソリンは十分使用可能であるということを明らかにしました.これにより,バイオエタノールを含水率1 %以下にまで精製する必要がなく,コストや環境負荷を抑えることができます.そこで,実験を行い,各温度における最大含水率を明らかにすることが私の仕事でした.これまで縁のなかった分野に関われたことはもちろん,特許の話を聞いたり,他の企業との交渉に同席したりといったビジネスの場を少し知ることが出来たのは非常に勉強になり,また楽しいものでした.

寮生活

インターン期間中は,ドルトムント大学の学生寮に住まわせていただきました.ここでは,世界中からの留学生たちと出会うことができました.同世代である彼らとの生活は,私にとってインターンと同じくらい貴重な経験になったと思います.中でも,将来の夢や大学で学んでいる内容についての話をしたことは一番心に残っています.まず,なんといっても彼らの視野の広さに驚かされました.自分の国をもっと豊かにするとか,世界を動かすとか,平気で口にするのです.もちろん,そんな漠然とした夢だけではなく,話を聞いていて,本当にやってしまうのではないかと思えるほど具体的なビジョンも持っていました.そして,今自分がやるべきことが何かをよく理解し,努力を続けているのです.自分も,彼らに負けないような夢を持ち,頑張ろうと改めて思いました.帰国後,博士課程への進学を決めることになったのですが,この経験が大きなきっかけの一つになった気がします.

山内 隆広

派遣先:Bayer Material science

インターン先

私の研修先はBayerの化学部門であるBayer Material Science (BMS)という企業でした。BMSはポリマーや機能性プラスチックを開発・製造しており、他のBayerの関連会社や工場と同様にドイツ西部のライン川沿いに位置するLeverkusenという小さな町にあります。2ヶ月間のインターンシップ期間中、私はホログラムに関する研究をしている部署に配属され、文献調査と簡単な実験をすることになりました。最初の数日は上司からBMSの事業紹介やホログラムに関する簡単な説明をしてもらい、それらが終わると早速仕事が始まりました。

まず私に与えられた仕事は、「文献を読んで拡散モデルごとに分類し、要約をする」というものでした。私はホログラムに関する知識が全くなく、上司にあれこれ質問をしながら仕事を進めていきました。英語に関しては、読み書きはなんとかできたものの、上司や同僚に言いたいことをなかなかうまく伝えることができず、何度ももどかしい思いをしました。しかし、彼らは親切に話を聞いて下さって、適切なアドバイスを頂くことができました。また時々、アイルランド人の大学教授がやってきてチーム全員でのディスカッションがあり、最先端の研究内容に触れることができて、とてもよい経験になりました。文献調査が終わると実験にも携わる予定でしたが、文献調査が長引いてしまい、短期間しか実験をすることができなかったことだけが悔やまれます。

サッカー観戦

ある日、同僚から「サッカー観戦に行かないか?」と誘われて、ドルトムントのスタジアムで本場のサッカーを見にいきました。言葉は通じなくても、ゴールが決まったときには観客全員が一体となってとても楽しむことができました。また、「今後ヨーロッパ中を旅行する機会はなかなかないだろう」と考え、週末はドイツ国内はもちろん、ヨーロッパ各地を旅行しました。ベルギーのスパ・フランコルシャンサーキットで、初めてF1を生で観戦し、ミュンヘンのオクトーバー・フェスト(世界最大のビール祭り)やフランス・オランダにも行きました。またインターンシップ終了後もスイスやイタリアを訪れて、ヨーロッパを精一杯満喫しました。

ドイツでの生活

私がドイツでのインターンシップに参加して一番衝撃的だったことは、日本人とヨーロッパ人の価値観の違いです。彼らは毎朝7時から8時頃に出社し17時には仕事を終えます。彼らは仕事を人生の一部と割り切って見なしており、残業もほとんどすることなく、週末は家族と過ごす時間を大切にしています。また長期休暇もきちんと取り、家族で旅行に行ったりします。

どちらの慣習が良い・悪い、ということはできないのですが、日本で普通に生活をして日常を送っていると気づけなかったであろうことに、この2ヶ月でたくさん触れることができ、他では体験できない貴重な経験をすることができました。

川成 将人

派遣先:Uhde GmbH

動機

私は4年前にこの冊子で先輩方のインターンシップの体験談を読んで、ただの海外旅行ではできない体験を通して自分を成長させることができるのではないかと感じ、このドルトムントでの研修に参加することを決めました。

インターン先

まず、会社について述べたいと思います。私はUhde GmbHというエンジニアリング会社のCoke plant technologiesという部署に配属されました。Uhde GmbHでは、日本の会社のイメージとは随分と異なり、社員の皆さんはシャツにジーパンといったスタイルがほとんどです。また、仕事とプライベートをきっちりわける習慣があるためか、6時を過ぎるとほとんど会社に人は残っていないといった点や、多くの人が長期的にバカンスへ出かけていくため社内で見かけなくなった点なども新鮮でした。

研究開発

私に与えられた課題はコークスの副産物からベンゼン、トルエン、キシレンを分離精製するプロセスの最適化を行うことでした。シミュレーションソフトを使うためデスクワークの日々でした。同じ部屋には他に3人の上司がおり、ときには談話しつつ仕事を進めていました。毎日昼食に誘ってもらっていたのですが、ほとんどみなさんドイツ語でしゃべるため、会話についていけませんでした。訪れる国の言語をしっかり勉強しておけばより充実した日々を送れたのにと悔やまれます。直属の上司とは週末の旅行やドイツと日本のことについて話したり、週末には地元のサッカーチームの試合に連れて行ってもらったりし、非常に親切にしてもらいました。

ドイツでの生活

次に会社以外の生活について述べたいと思います。住居はドルトムント大学の学生寮を使わせてもらいました。食事は仕事帰りにスーパーで食材を買い自炊していました。キッチンは同じ階に住む学生と共同だったので、そこで会話をしたり、ときには食事を共にし、様々な国の郷土料理を食べさせてもらったりしました。また、パーティなども開いてくれダンスを教えてもらったりもしました。特にアフリカからの留学生には陽気な人が多く、何人かとは親しくなることができました。留学生は故郷を離れドイツまで勉強をしに来ているので非常に優秀な方が多く、すごく刺激を受けました。

週末には、ドイツ国内だけでなく、近隣のオランダやフランス、スイスなどに旅行し、様々な芸術品や世界遺産を触れました。日本とは異なる文化を感じると同時に、違う視点から見ることで日本という国についてより深く考える機会にもなりました。この研修中は決して受け身にならずに主体的に行動することを心がけていたので、普段の生活ではなかなかできない貴重な体験をし、自分自身成長を感じることができました。

木村 勇太

派遣先:Process Design Center

動機

社会がグローバル化しつつある中で,海外で働く機会はいずれやって来るだろうと世間知らずながらも思いました.また,それが初めての海外生活だとしたら,相当なストレスを感じながら仕事をすることは,自分の性格を考えると間違いないとも思いました.そこで,この機会に先に経験させてもらい,将来に備えるために参加を希望しました.

仕事

僕は三野君と一緒にProcess Design Centerという企業でインターンシップを行うことになりました.その企業はドイツの他にアメリカ,オランダに支社がありますが,ドイツにいるのは2人だけで,ここで大丈夫なのか?と(今思うと失礼なことですが)不安でした.ですが規模が小さいからこそ,オランダに出張し,他企業との商談に参加(商談は上手くいきませんでしたが…)させてもらうなど,貴重な体験をさせてもらいました.仕事内容についてですが,最初は大きな仕事をする予定で色々準備していたものの,商談が決裂してからは論文からのデータ収集だけとなり,少し寂しいものでした.

普段の生活

仕事は,基本的に9~17時で残業なんてありません.更に金曜日は,16時くらいに,上司がやってきて,「ここは日本じゃない,働きすぎるなよ.さあ今から週末を楽しむんだ!じゃあ,月曜日にね!」と言って,上機嫌で帰って行きます.日本では考えられない光景だったので,何故ドイツの化学メーカーが世界のトップを占めているのか?について三野君と話し合ったりもしました.彼らのオン・オフの切り替えはハンパない,というのが結論です.とにかく,そんな感じだったので,平日は寝るまでかなりの時間があり,毎日自炊し,ビールを飲みながら,週末は何処へ旅行するかを,他のプログラム参加者と,話し合ったりして過ごしていました.食事について少し触れておきますと,最初は美味しいと感じていましたが,味に深みがなく,1ヶ月もすれば嫌になってしまいました.日本食が恋しくてたまらず,シマヤだしの素を日本から送ってもらい,うどんのようにパスタを料理したり,だし巻き卵を作ったりしていました.

言葉について

日本では,町中で見かける人のほとんどは流暢に英語を話せないと思います.しかし,ドイツでは(年輩の方を除いて)ほぼ全ての人が英語を話せました.そのため,道を尋ねる,物を買う,宿に泊まる等はそれほど難なくこなせました(まあ,マクドナルドでチーズバーガー下さいといっても,僕の発音が悪すぎたために通じないこともありましたが…).しかし,会社ではかなり苦労しました.話すスピードが速すぎてまず何を話しているかわからないし,言いたいことも単語力不足…と大変でした.何年か前の体験記にも書いてありましたが,とにかく理解したい,伝えたいという意志が大事だと実感しました.そのような意志でいるとやはり通じるものです.日本に居れば当たり前な,ただ意思疎通ができたときは,ものすごく嬉しかったことを覚えています.

最後に

このプログラムに参加したことで予想以上に多くの収穫を得ました.僕の場合,特に大きなものとしては,好き勝手に旅行できたこと,異なる文化を体感できたこと,英語を使って意思疎通をするという行為自体へのハードルが大きく下がったこと,英語を話せないことがどれだけ恥ずかしいか分かったことが挙げられます.これらは,僕の人生に大きな影響を与えました.また,やり方によっては意外と少ない経済的負担で済みますので,今日海が少しでもある方は,挑戦してみて下さい.最後になりましたが,この機会を与えて下さった京都大学の先生方,慣れないドイツでの生活を支援して下さったドルトムント大学の先生方,全く戦力にならない僕たちを快く受け入れて下さった企業の方々,お世話になった全ての方々にこの場を借りてお礼を申し上げたいと思います.本当にありがとうございました.

山口 笑美

派遣先: Uhde GmbH

研修先と仕事内容、雰囲気について

私の研修先はDortmundにある、Uhde GmbHというエンジニアリング会社でした。水素製造プラントの一部分である水蒸気改質装置内の流量や圧力損失による偏差計算をASPENというシミュレーションソフトで計算するという仕事をさせてもらいました。平日の8時過ぎに働き始め、17時過ぎに帰り、毎週末に進捗状況を報告する形でした。分からないことがあっても、Supervisorが丁寧に教えてくれたので、仕事で困ることはあまりありませんでした。私の配属された部署では、お昼ご飯(社食でとてもおいしい)の後は、数人で会社の付近を散歩しながら談笑し合ったり、週に1回はアイスクリーム休憩なるものもあったりして、とても楽しい時間を過ごせました。唯一不満な点を挙げるとすれば、寮から会社までの、起伏の激しい、長い坂道を自転車で行き来しないといけなかったところでしょうか。

日常生活について

研修中は大学の寮に住ませてもらいました。平日の夜は、同じ寮に住んでいた川成くん、木村くん、三野くんとロビーで飲むことが多かった気がします。ドイツのビールは水よりも安くて、しかもおいしいので毎日のように飲んでいました。また、スーパーでは日本よりも圧倒的にチーズやワインや夏野菜が安かったので、楽しく自炊できました。調理器具や自転車は大学が貸してくれました。寮内では夏休みや新学期の季節ということもあって、ウェルカムパーティやお別れ会が盛んに行われており、多くの人と飲んだり話したりする機会がありました。週末は、夜行列車やユーレイルパスを利用して、ドイツ国内はもちろん、ベルギーやフランス、スイスにも行き、景勝地巡りや郷土料理、地ビールを楽しみました。ガイドブックよりも誰かがお勧めしてくれた所の方が良いことが多く、多くの人と話すよう努めました。特にユースホステルで出会った人が良い情報を持っていることが多かったです。

英語について

苦手意識のあった英語も、話す機会に恵まれたおかげか、少し上達したような気がします。何より殆ど分からないドイツ語の存在のおかげで、日常生活の大体のことは英語で分かるのになぜ苦手だと思いこんでいたのかと気付くことができたことが一番の収穫でした。もちろん、英語力不足を痛感することは多々あり、改めて勉強しなくてはと思いましたが。