2010年ドルトムント留学体験記

岡島 亮太

派遣先:Evonik Degussa GmbH

きっかけ

私は化学プロセス工学コースに進んだ2回生後期のころからドルトムント短期留学プログラムに興味を持っていました.理由は,2カ月間も海外に滞在できるような機会は滅多にないと思ったからです.渡航費の補助なども魅力的でした.

派遣先

インターン仲間で歓送迎会

私が派遣されたのは,Evonik Degussa GmbHという総合化学メーカーでした.

私はProcess Technology & Engineering 部門で化学プロセスの経済性評価に取り組みました.ある目的を達成するためにどのようなプロセスを採用するのが一番経済的かを調べるという仕事です.この他にも文献調査の仕事をいくつか行いました.

仕事は朝9時ごろから夕方5時ごろまでやっていましたが,勤務時間の制約は特にありませんでした.週末旅行のために,金曜は午前中だけ,月曜は昼から仕事という時もありました.インターン生は私以外にも世界中から来ていましたが,皆だいたいそんな感じでした.ただし,ちゃんとノルマはこなしての話です.

週末の生活

ここに住んでました。インターン生でシェアハウス仕事が終わってからは週末旅行の計画を立てたり,同僚と夕食に行ったりしていました.インターン中の住居は勤務地から自転車で20分くらいのところにあり,同僚とシェアハウスしていました.途中で入れ替わりもありましたが,アメリカ,アルゼンチン,フランス,そしてドイツ出身の学生と一緒に生活しました.先に述べたようにEvonikは世界中からインターン生を受け入れており,上記の他にもさまざまな国籍の学生と友人になることができました.

週末旅行ではドイツはもちろん,近隣のヨーロッパ諸国にまで足をのばし,観光しまくりました.5カ国20都市以上は訪れたと思います.平日5日分以上のエネルギーを休日2日で使っていたと思います.交通手段は主に鉄道でしたが,日本より座席が大きいので快適でした.

研修を通じて感じたこと

2カ月間の留学では様々な学ぶことができましたが,強く印象に残っているのは次の2つです.1つ目は,やはり英語は重要だということです.日本にいてもよく言われていることですが,海外にある程度滞在すると改めて実感できます.ヨーロッパのどこの国に行っても英語なら意思疎通することができました.滞在中に英語力はかなり成長したと思います.2つ目は,日本人として日本の文化や習慣を勉強しておくことは大切だということです.外国人は見知らぬ国のことに興味津々です.私もいろいろ質問されましたが,上手く答えられないこともありました.海外では日本人と異なる価値観を持った人がたくさんいます.そのような人々との相互理解を深めるためにも,自分たちがどのように考え,行動しているのかをしっかり説明できる必要があると思います.

この記事を読んでいるM1以下の学生の皆さんには,このプログラムに参加することを強くお勧めします.本当に貴重な体験ができますよ.

岡田 恵美

派遣先:Bayer Material science

動機

私がドルトムントでのインターンシップに興味を持ったのは、2回生の夏頃、先輩のドルトムント体験記を読んだのがきっかけです。当時英語などちんぷんかんぷんだったので、学生の先輩方が2カ月も異国の地で働いてきたというお話を聞き、遠い世界のことのように思いました。しかし、チャンスがあるなら掴むしかない!と思い、それから英語の勉強をに取り組みました。そんな単純な動機からですが、修士1回生で選抜テストをなんとか通過し、インターンに参加することができました。

このインターンシップでは、大学と企業から金銭的な援助を受けられますので、お金の心配は少ししか(人によりますが)要りません。他専攻の友達に話すと、こんな研修は無いらしく、必ず羨ましがられます。おいしい話だと思いませんか?

ドイツでの生活 ~平日~

私の研修先はドイツ西部レバークーゼンにある、Bayer Material Science社(BMS)という化学メーカーでした。そこで、レオロジー分野の研究室に配属されました。

研修中は会社から電車で1時間程度のケルンのアパートに滞在していました。毎日電車からケルン大聖堂を眺め、贅沢な思いをしながら通勤していました。

さて、私の仕事内容ですが、超高分子量ポリエチレンを人工軟骨に加工するために必要な溶媒の選定や物性の測定を行いました。研究に関する基礎知識は、大学院の授業で既に勉強していましたが、分からないことはその都度上司に聞いたり、本やネットで調べたりして理解するようにしていました。会社での会話は英語で行いました。毎日上司に研究の進捗状況を報告し、ディスカッションを行っていました。うまく伝わらないことも多々ありましたが、身振り手振りを使いながらもなんとか仕事を進めていくことができました。研究室には5人の研究員がいて、皆とても気さくな方々でした。実験機器の使い方が分からないときはとても丁寧に教えて下さいました。また、休憩時間には食べ物や観光についての他愛無い話をして、とても楽しい時間が過ごせました。

Bayer社のインターンシップ制度は大変充実しており、世界中から多くのインターン生が集まっています。彼らの語学力とコミュニケーション能力には圧倒されるばかりで、とてもよい刺激になりました。そのような環境で外国人の友人を作れることも楽しみの一つです。

ドイツでの生活 ~休日~

ベルリン名物

休日は毎週ヨーロッパ観光を楽しみました。私が滞在していたケルンは鉄道の要所なので、周辺の国々へのアクセスも抜群です。ドイツ国内をはじめ、オランダ、ベルギー、フランス、スイス、オーストリアを旅してきました。

ヨーロッパの歴史的建造物は壮麗で、感動するばかりでした。美術館も充実しており、有名な芸術に多数触れることができました。また、私はビールが大好きなので、各地のビール飲み比べを楽しみました。ドイツ最大のビール祭りであるオクトーバーフェストにも参加し、思う存分ビールを堪能しました。

さいごに

このインターンシップを通じて、多くのことを学び、自身をつけることができました。

まずは、英語力です。日本語を一切使えない状況に置かれると、なんとか話せるようになるものです。少なくとも、間違っていても積極的に話しかけていく力は身についたと思います。英語はこれからも勉強し続けるつもりです。

次に、度胸です。知らない土地で一人困難に遭遇しても、口さえあればなんとかなるという覚悟で毎日生活していました。元来小心者の私も、少し怖いものなしになった気がします。化学工学専攻の後輩の皆さまも、ぜひドルトムントでの研修に参加してみてはいかがでしょうか。視野を広げる良い経験となるでしょう。

小坂 康平

派遣先:SCHOTT

なぜドルトムント研修に参加したか?

私が初めて海外旅行したのは大学一回生のとき。行き先はグアムでした。全く英語が喋れないながらも教科書の例文で出てくるような英語を使い、それが通じたときのとても嬉しかったのを覚えています。一方でグアムに行く日本人旅行客はとても多く、現地には日本語が溢れています。いつかは日本語が全く通じないところに言ってみたいなぁと思いながら関空に降り立った、それが私の初めての海外旅行です。

それから何度かの海外旅行を繰り返すうちに、異文化を学ぶこと、外国の人と英語で会話すること、に楽しみを覚えた私は大学4年生の時に大学を休学し、6ヶ月間カナダに語学留学しました。そこで、私に芽生えた感情が「将来、国際的に活躍できる人間になる為に、インターンなどの実務を経験してみたい」というものでした。

私は他大学出身者ですが、京都大学の化プロコース(化工)にはドルトムント研修のチャンスがあることを聞いており、そういった機会に恵まれているという理由もひとつの要因として大学院から京都大学に入学し、このドルトムント研修に参加することができました。

研修内容

インターン先で私が派遣された企業はSCHOTTというガラスメーカーです。元々はガラスのみを作っていましたが今日では半導体材料、デンタルガラス(歯の詰め物)、燃料電池用材料など製造する分野は多岐にわたります。私は燃料電池シーリング用ガラスの漏れ(リーク)測定装置の組み上げ、リークテストの実験を担当しました。英語を使い、様々な部署で働いている人と相談・協力しながら、業務をおこないました。

ドイツでの生活

ドイツではデュッセルドルフなどを除いて、アジア系の人を見かけることはあまりありません。冒頭にもありましたが、日本語が全く通じない状況は想像以上に過酷ですが、それを逆境に少しは実践的な英語力が伸ばせたかと思います。ブンデスリーガー

また他の参加者の方も書かれていると思いますが、ドイツの人たちは本当に帰宅が早いです。金曜日などは3時くらいには退社しています。その為、平日は帰宅してから会社の上司とビールを飲みに行ったり、サッカーを見に行ったりしました。休日はヨーロッパ各所に出かけていき、観光をしました。不幸にも私は一人だけ南ドイツのミュンヘン近くに派遣されたので、他の参加者の人と一緒に遊ぶことはあまりできなかったのですが、日本から友人が旅行ついでに来てくれたために、一緒にドイツ以外でもミラノ、フィレンツェ、ウィーン、プラハなど南ドイツから比較的行きやすい場所を中心に旅行にいくことができました。因みにドルトムントでは香川真司選手とお会いし一緒に写真をとってもらえました。

最後に

将来皆さんは国際的な場所で活躍していく方が多いと思います。行きたくて海外に行く場合、あまり望まずに海外にいくこともあると思います。このインターンは間違いなく、そういった時の良い練習になると思います。英語能力が通用しなかったとしても、英語をもっと勉強しようと思える良いチャンスです。私は他大学出身者ですから、特に感じるのは京都大学の化プロコースは確実に恵まれているということです。こういったチャンスが与えられる良い環境に飛び込むんだ!という意気込みで是非、化プロコースに興味を持っていただけると幸いです。

児玉 伸崇

派遣先:Doerken

動機

私は一年前にドルトムントで研修を行った研究室の先輩の話を聞き、ドルトムントの研修に興味を持ちました。この研修では、単なる旅行・語学留学ではなくインターンシップという形で、2か月ドイツに滞在できます。私は今回を逃したらこのような経験はなかなかできないのではないか、と思い参加することに決めました。

研修先

私はドルトムントの南隣りのHerdeckeという町にあるDoerkenという会社で2ヶ月間断熱材に関する特許調査及び最新の断熱材の研究動向の調査を行い、その内容をレビューするという仕事をしました。毎朝5時半過ぎに起床し、6時過ぎには家を出て、1時間ちょっとバスに乗り毎朝7時半に会社へ行き、夕方16時~17時頃に会社を出るという生活を2カ月ほど送りました。ほぼ毎日仕事の進捗状況を上司に報告し、週に2~3回上司と仕事の内容についてディスカッションをしました。

仕事をしてみて

この研修で一番大変だったのはやはり言葉でした。私が働いた会社はあまり大きな会社ではなかったので、外国人のインターンシップ生は私しかおらず年輩の社員の方の中には英語を話せない方もいたため、会社の中では仕事中も休憩中も常にドイツ語が飛び交っていました。最初は戸惑ってばかりでしたが、私の面倒を見てくれた上司や同じ部署の方々が英語で声をかけてくださったりと色々と私の面倒をみてくださり本当に助かりました。ドイツ語のみでなく英語も私にとっては大きな壁になりました。相手が言っていることを聞きとるということに第一の壁が。自分の伝えたいことを伝えるということに第二の壁が。互いに母国語が異なる場合でも、根気よく相手の言っていることを理解し自分の考えていることを伝えることの重要性にも気づかされました。また。表現のストックを増やしてもっとコミュニケーションをもっと楽しめるように英語力を高めていきたいです。

休みの日

休みの日はドイツやその周辺の国を旅行して過ごしました。ヨーロッパは国境を越えただけで言葉も町の様子も様変りします。ドイツでは木組みの家だったのが、ベルギーではレンガ造りに、オランダでは斬新なデザインの建物に、イタリアは町全体が中世の雰囲気。これは島国日本では経験できない面白い体験だと思います。また、友達とサッカーの試合を見に行ったり、ブリュッセルのビール祭りに行ったり、世界最大のビール祭りオクトーバーフェストに行ったりと、ヨーロッパのお祭りをEnjoyすることができました。

おわりに

最後に、文化や価値観が異なる国にインターンシップという形で滞在することで、旅行するだけではなかなか感じ取ることができないドイツ人の仕事観や生活観に触れるでき、非常に有意義な経験となりました。このような貴重な機会を与えて下さった先生方、インターンシップ先の社員の方々に感謝いたします。

安田 和真

派遣先: Cargill

はじめに

ドイツでの生活は本当にAmazingでした。ドイツで丸2ヶ月間過ごしましたが、その間に多くの人と出会い、友達になり、そして彼らのおかげで私のドイツの生活は実りあるものとなりました。

ドイツでの生活

まず、アパートメントの環境が非常に良かったと思います。各国からドイツにインターンや留学にきた人たちが住むアパートで、最初の1ヶ月はヨルダン人とルームメイトでした。初めの頃は、ほとんど英語が喋れなかったし、聞き取るのも苦労して、周りの人たちに迷惑をかけたと思います。しかし、皆、話すスピードを落としてくれたり、何回も聞きなおしてくれたりするなど、とても親切にしてくれました。彼らのおかげで、私の英語も少しは改善されたと思います。アパートに住んでいる間は、互いの文化や宗教の違いを話し合ったりするだけでなく、各国の料理を作って食べ比べをしたり、週末にはドイツやオランダを観光したりしました。料理はアラビア料理がなかなかの美味で驚きました。たぶん、ヨルダン人の料理の腕が良かったんだと思います。

会社はワーキングビザの問題で1ヶ月しか働けませんでしたが、それでも良い経験になりました。Cargillというアメリカの食物メジャーの会社で働きましたが、アメリカの会社というよりかは、前身のCerestarという会社の名前がCargillに変わっただけという印象です。だからかはわかりませんが、皆、あまり英語を話すのが得意ではありませんでした。中にはほとんど話せない人もいましたが、互いにコミュニケーションをとりたいという意思があれば何とかなるのだということもわかりました。会社では、1ヶ月でしたがさまざまな実験装置を使わせてもらって、製品の分析を行いました。具体的には、ソルビトールと呼ばれる物質(歯磨き粉やガムの原料)を主に含んだ製品の水分含有量と屈折率を測定し、関係性を調べました。成果を残せたかはわかりませんが、限られた時間でベストは尽くしたつもりです。

一番楽しかったのは

ドイツで何を一番楽しんだかといわれると、やはりサッカー観戦です。あれは、サッカー好きとか関係なく一種のお祭りみたいなものだと思います。サッカーが好きなら,なおいっそう楽しめるのは間違いありませんが。

ドルトムントの試合を2試合観戦しましたが、香川選手の人気はすごいものでした。ちょうど、観戦した試合でドイツ初ゴールを決めたのですが、その日は試合後、ドルトムントのサポーターが私のところにやってきて握手をしたり写真をとったり、まるで私が香川選手になったかのようでした。香川選手のおかげでたくさんのサポーターとも仲良くなり(中には相手サポーターの方まで)よりいっそう楽しむことができました。今では、すっかりドルトムントファンになっています。また、試合後にドルトムント市内でばったり香川選手に会うなんていう奇跡も起きて本当にドルトムントにいけて幸せでした。また、チャンスがあれば是非ともドイツに行きたいと思います。チャンスがなくともチャンスを作って、ドイツに行きたいです。

吉末 幸祐

派遣先:Bayer Material science

参加理由

私が本プログラムに参加しようと考えた理由は主に2つあります。1点目は単純に海外で2ヶ月間生活したいと考えたからです。私はこれまで海外に行った事がなく、海外に憧れがありました。2点目は将来の糧になると考えたからです。現在は多くの企業が海外に進出しおり、自身も海外で勤務する可能性もあると思います。そのため、2ヶ月間海外で勤務する本プログラムに参加する意義は大きいと考えました。

研修先

私の研修先はBayerグループの1つであるBayer MaterialScienceのホログラム部門でした。プラントはLeverkusenのCHEMPARKにあります。CHEMPARKとは、ドイツ国内で最大の規模を誇る化学系の工業団地の事で、総面積は13.3㎢に及び、60以上の企業とサービス会社で約50,000人が働いています。

研修内容

研修内容はホログラムの原料物質の溶剤に対する溶解度測定でした。初めの1週間はホログラムに関する論文を読み、残りの7週間は実際に実験を行いました。海外での研修という事もあり、はじめはとても不安でした。しかし社員の方々はとても親しみやすく、昼食やビール祭などに誘ってくれ、その不安もすぐに解消されました。

ドイツでの生活

ドイツのお城平日は上で述べたような業務をしていたのですが、休日は毎週末旅行していました。私は主にドイツ国内を中心に旅行し、慣れてきたころにはフランスなどの近隣国にも行きました。旅先でも初めてのことばかりで戸惑うことも多かったのですが、今となってはいい思い出ばかりです。

学び

1点目として、英語力の不足を実感しました。特に伝える事の難しさを実感しました。この難しさを克服するためには、日本語で考えてそれを翻訳するのではなく、英語で考える事が必要だと強く感じました。

2点目として、多くの人との交流を通じ、自身の価値観が広がりました。もちろん研修先でも様々な人と交流しましたが、それ以外の場面でも様々な人と交流するよう心がけました。案外そのような方々との交流の方が価値観に大きな影響を与えているように思えます。ですので、研修以外でも積極的に行動し、様々な人と交流する事をお勧めします。

最後に

今回のプログラムを通して多くのことを学びました。同時にこの2ヶ月間を楽しむことができました。このような貴重な機会を与えてくださった、大嶋先生をはじめ、本プログラムに関わった全ての方々にこの場を借りて御礼申し上げます。