界面制御工学

教員

渡邉 哲 ( Satoshi WATANABE )

渡邉 哲准教授(工学研究科)

研究テーマ

固液界面におけるナノ粒子の自己集積構造に関する研究を行っています。2次元および3次元コロイド結晶の形成過程を対象に,実験とシミュレーションの両面から検討を行い,規則構造の形成メカニズムの解明と,現象のモデル化に取り組んでいます。

連絡先

桂キャンパス A4棟 1階101号室
TEL: 075-383-2672
FAX: 075-383-2652
E-mail: nabe@cheme.kyoto-u.ac.jp

平出 翔太郎 (Shotaro HIRAIDE)

助教(工学研究科)

ShotaroHiraide研究テーマ

吸着に誘起されて構造変形が生じるユニークな吸着材料について研究をしています。この材料が示す特異な吸着挙動について,発現メカニズムの解明から吸着分離プロセスへの応用可能性の検討まで,幅広く取り組んでいます。

連絡先

桂キャンパス A4棟 1階101号室
TEL: 075-383-2672
FAX: 075-383-2652
E-mail: hiraide@cheme.kyoto-u.ac.jp

研究紹介

ナノスケール拘束空間の工学-構造制御を目指した界面場の積極利用-

化学工学の目的が「組成制御」から「構造制御」に向けて発展すべき現在,工学基礎としてまず求められるのは,[相互作用集団]×[外場]=[構造制御]の方程式であろう。つまり,相互作用を及ぼし合う要素─例えば分子やナノ粒子など―の集団が,ナノ空間や固体基板上などの外的ポテンシャルエネルギー場におかれたときに,どのように相転移や構造化を生じるのか,といった現象を,見出し,そして理解し,さらにはそのメカニズムを定量的にモデル化することが求められる。

当分野では,このような広義の「界面」における「外場」の積極利用に着目して,その効果が強調されるナノスケール空間を舞台に,その場特有の分子/イオン/ナノ粒子の挙動と構造について,分子・粒子シミュレーションと実験を併用した解析・モデル化に取り組んでおり,界面と構造の関わる化学工学基礎の体系化を目指すとともに,機能材創製と界面利用各種デバイスへの応用を視野に研究している。研究テーマ概要を以下に紹介する。

1. ナノ空間内での相転移現象の分子シミュレーション,モデル化および実験検証

MCM-41や金属-有機配位子錯体(MOF)など,ナノ空間材料の開発は近年めざましいが,こうした材料の応用展開には,ナノ空間場における分子集団の相挙動を理解することが重要である。一成分系の気液,固液,固気転移,二成分系での液液,固液転移などの系を対象に,相挙動を分子レベルで解析し,その理解をもとに,相挙動を予測可能な工学的モデル化および実験的検証を図る。

相互貫入ジャングルジム
図. 相互貫入ジャングルジム型有機配位子錯体中での吸着に誘起される構造相転移

2. ナノカーボン集団系での「相」挙動と構造制御

C60やSWCNTなどのナノカーボン材料は,分子と粒子のいわば中間に位置し,その集団としてのふるまいには未知の側面が多い。分子シミュレーションおよびブラウン動力学により,媒質中での集団挙動を解析し,秩序/無秩序といった「相」挙動の特性の理解を図ると共に,集団構造制御手法としての展開を目指す。

3. ナノ粒子による吸着場・液膜場での構造形成

100 nm オーダー以下の,広義のナノ粒子の配位構造を制御しつつ集積を行うことで,種々の機能性材料が創製可能と期待されている。基板引力による吸着場,基板上を濡らす液膜場などを外場として利用する集積法を対象に,操作因子と生成構造との因果関係を実験的に検討し,ブラウン動力学法を基礎に秩序構造形成過程の理解とモデル化に取り組む。

ストライプ構造
図. コロイドナノ粒子の蒸発誘起自己組織化によるストライプ構造形成

4. 秩序相・固相発生過程の基礎研究

特異な機能が期待されるナノ粒子を始め,種々の機能性材料の創製の鍵は,構造の元となる固相発生過程の制御にある。原子/イオン/分子集団が「場」で構造を造り上げる素過程について,実験及びシミュレーションの両面からの研究を展開する。